仕事の辞め時は、心身の状態・改善の見込み・市場価値の3点で判断できます。
「これは辞め時なのか、それとももう少し我慢すべきなのか」と迷っている人は少なくありません。ただ、辞めたい気持ちがあることと、いまが辞め時であることは別の話です。
判断の軸になるのは、心身の状態・改善の見込み・自分の市場価値の3つです。感覚だけで決めてしまうと、辞めたあとに「まだ続けられたかもしれない」と迷いが残ることもあります。
この記事では、仕事・会社の辞め時にあたる14のサインと、反対にまだ辞め時ではない5つのケースを、社会保険労務士の監修のもとで整理しました。30秒でできる20項目のセルフチェックや、実際に会社を辞めた6人の体験談も掲載しています。
辞めるかどうかを迷っている段階の方が、自分で判断するための材料としてお役立てください。
平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録を行い、以後地域における企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を行う。退職時におけるトラブル相談や、転職時のアドバイスなど、労働者側からの相談にも対応し、労使双方が円滑に働ける環境作りに努めている。また、近時は活動の場をWeb上にも広げ、記事執筆や監修などを通し、精力的に情報発信を行っている。
資格
社会保険労務士
- 1 【30秒でわかる】仕事の辞め時セルフチェック20項目
- 2 仕事・会社の辞め時(辞めどき)となる14のサイン
- 2.1 サイン①:会社の人間関係が悪く、仕事が円滑に進まない
- 2.2 サイン②:仕事に対するモチベーションが湧かない
- 2.3 サイン③:給与アップが見込めない
- 2.4 サイン④:成長を感じられない
- 2.5 サイン⑤:自分のスキルや強みを活かせる仕事ができない
- 2.6 サイン⑥:会社と自分の仕事に対する価値観が変わった
- 2.7 サイン⑦:残業や休日出勤が多く、ワークライフバランスを確保できない
- 2.8 サイン⑧:ハラスメントがある
- 2.9 サイン⑨:仕事の成果や実績を正当に評価してもらえていないと感じる
- 2.10 サイン⑩:会社の倫理観が損なわれている
- 2.11 サイン⑪:優秀な社員がどんどん辞めていく
- 2.12 サイン⑫:会社の業績が悪く、将来に不安を感じる
- 2.13 サイン⑬:疲れているのに寝れない日が続く
- 2.14 サイン⑭:朝起きられない
- 3 「辞めたい」と思う理由の種類|自分がどれに当てはまるかを知る
- 4 まだ辞め時ではない5つのケース|辞めない方がいいサイン
- 5 辞め時かどうかを見極める4ステップ
- 6 【体験談】会社を辞めようと思った瞬間
- 7 辞め時を感じたときの相談先|1人で決めない
- 8 辞めると決めたあとにやること
- 9 転職サービス・退職代行の紹介
- 10 よくある質問
- 11 【まとめ】辞め時かどうかは、3つの軸で判断できる
【30秒でわかる】仕事の辞め時セルフチェック20項目
仕事の辞め時は、心身の状態・職場環境・会社の将来性の3つの切り口で確認できます。以下の20項目のうち、7つ以上あてはまる場合は辞め時のサインが出ている状態です。
この3つに分けているのは、厚生労働省が公開している職場のストレスチェックが、「仕事の負担などのストレス要因」「心身に出ている反応」「周囲のサポート」の3領域で構成されているためです。心の状態だけ、あるいは会社への不満だけを見ても、判断の材料としては足りません。
心身の状態でわかるサイン(7項目)
心や体に出ている変化は、自分では気づきにくい部分です。以下のような状態が1か月以上続いている場合は、心身に大きな負担がかかっている可能性があります。
- 疲れているのに眠れない、または夜中に何度も目が覚める状態が続いている
- 休日の朝は起きられるのに、仕事の日だけ起きられない状態が続いている
- 日曜の夕方から動悸や頭痛、腹痛などが出る
- 食欲がない、または食べすぎる状態が続いている
- 以前は楽しめていた趣味に興味がわかなくなった
- 出勤前に涙が出る、会社の最寄り駅で足が止まることがある
- 休日に寝て過ごしても、疲れが抜けない
これらは、厚生労働省が過重労働対策として周知している「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)」でも、最近1か月間の自覚症状として挙げられている項目です。
チェックリストでは、イライラする・不安だ・落ち着かない・ゆううつだ・よく眠れない・食欲がないといった症状の頻度を、「ほとんどない(0点)」「時々ある(1点)」「よくある(3点)」で点数化し、勤務の状況とあわせて疲労の蓄積度を判定します。
※参考:中央労働災害防止協会「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)活用ガイド」
チェックリストの項目に複数当てはまる場合は、辞めるかどうかを考える前に、まず休息と相談を優先してください。判断そのものが正確にできない状態になっている場合があります。
職場環境でわかるサイン(7項目)
職場環境は、自分の働きかけで変えられるかどうかが判断の分かれ目になります。職場環境でわかる辞めどきのサインは、以下のとおりです。
- 1か月の残業が80時間を超える月がある
- 有給休暇を申請しても取得できない状態が続いている
- ハラスメントを受けている、または日常的に目にしている
- 相談できる上司・同僚が社内に1人もいない
- 業務量が明らかに多く、時間内に処理しきれない
- 評価の基準が不明確で、成果が反映されない
- 改善を提案したが、状況が変わらなかった
1項目目の「1か月80時間」は、厚生労働省が脳・心臓疾患の労災認定基準として示している時間外労働の目安です。
パンフレットの5ページ「労働時間の評価」では、発症前1か月間におおむね100時間、または発症前2〜6か月間にわたって1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合、業務と発症との関連性が強いと評価できるとされています。
※参考:厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定(過労死等の労災補償Ⅰ)」
なお、厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査(個人調査)では、仕事や職業生活に関することで強い不安・悩み・ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者は68.3%でした。その内容は「仕事の量」43.2%、「仕事の失敗、責任の発生等」36.2%、「仕事の質」26.4%の順です。
ストレスを感じること自体は珍しくないため、量の多さだけで辞め時と判断するのではなく、次の「将来性」とあわせて見ていくのが良いでしょう。
※参考:厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要・個人調査」
会社の将来性でわかるサイン(6項目)
会社の将来性は、自分の努力では変えられない部分です。ここに多くあてはまる場合、同じ会社にいながら状況が改善する見込みは低くなります。
- 業績の悪化が続き、賞与の減額や不支給が起きている
- 経営陣から再建策や今後の方針が示されない
- 優秀な社員や中核メンバーの退職が続いている
- 昇給・昇格の仕組みが実質的に機能していない
- この会社で3年後にどうなっているか想像できない
- 社外で通用するスキルが身についている実感がない
チェックの数ごとの受け止め方
あてはまった数は、辞めるかどうかの判定ではなく、今の状況がどの程度続いているかの目安として確認してみてください。
| あてはまった数 | 受け止め方 | 次に読むところ |
|---|---|---|
| 0〜3個 | 一時的な負荷の可能性があります。状況が変わる見込みがあるかを確かめる段階です | まだ辞め時ではない5つのケース |
| 4〜6個 | 不満の中身を整理すると、辞め時かどうかが見えやすくなります | 「辞めたい」と思う理由の種類 |
| 7個以上 | 辞め時のサインが出ている状態です。14のサインと照らし合わせてみてください | 辞め時となる14のサイン |
| 心身の項目に3個以上 | 数に関わらず、休息と相談を先に検討する状況です | 辞め時を感じたときの相談先 |
チェックリストに当てはまる数が多くても、すぐに辞める必要があるという意味ではありません。反対に数が少なくても、1つの項目が耐えがたいものであれば、それは十分な理由になります。数はあくまで整理のための目安で、最終的に決めるのは自分自身です。
仕事・会社の辞め時(辞めどき)となる14のサイン
仕事の辞め時のサインは14あります。このうち、自分の働きかけでは変えられないものが続いている場合、辞め時の可能性が高くなります。
同じ不満でも、上司との相性のように配置転換で変わりうるものと、会社の業績や評価制度のように個人では動かせないものがあります。仕事の辞めどきを見極めるときは、まずこの区別をつけるようにしましょう。
以下の早見表で、ご自身の状況がどちらに近いかを確認できます。
| サイン | 自分で変えられるか | 次に見るところ |
|---|---|---|
| ①会社の人間関係が悪い | 部分的に変えられる | 異動・配置転換の可能性 |
| ②モチベーションが湧かない | 部分的に変えられる | 原因が仕事内容か環境か |
| ③給与アップが見込めない | 変えにくい | 昇給制度と会社の業績 |
| ④成長を感じられない | 部分的に変えられる | 挑戦できる機会の有無 |
| ⑤スキルや強みを活かせない | 部分的に変えられる | 職種転換の余地 |
| ⑥会社と価値観が変わった | 変えられない | 会社の方針が変わる見込み |
| ⑦残業・休日出勤が多い | 変えにくい | 労働時間の実績と改善の動き |
| ⑧ハラスメントがある | 変えられない | 相談窓口の有無と対応 |
| ⑨正当に評価されない | 変えにくい | 評価基準の明確さ |
| ⑩会社の倫理観が損なわれている | 変えられない | 是正される見込み |
| ⑪優秀な社員が辞めていく | 変えられない | 退職の理由と頻度 |
| ⑫会社の業績が悪い | 変えられない | 再建策の有無 |
| ⑬疲れているのに寝れない | 変えられない(要休養) | 心身の状態と相談先 |
| ⑭朝起きられない | 変えられない(要休養) | 心身の状態と相談先 |
「変えられない」に多く当てはまるほど、会社を辞めた方がいいサインが強く出ている状態といえます。
ここからはそれぞれのサインについて詳しくみていきましょう。
サイン①:会社の人間関係が悪く、仕事が円滑に進まない
人間関係の悪さは転職理由の上位を占めます。改善を試しても変わらない場合は、会社の辞め時のサインです。
エン転職を運営するエン・ジャパンのアンケート調査によると、退職者の退職理由で最も多かったのが「職場の人間関係が悪い」ということでした。
公的な統計でも同じ傾向が確認できます。厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」を挙げた人は女性11.7%、男性9.0%でした。女性では、個人的理由のうち労働条件に次いで2番目に多い理由です。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」表5
職場の人間関係の質は業務の円滑な進行や効率、そして従業員のモチベーションや満足度に大きく影響します。そのため、人間関係のトラブルは仕事を辞める大きなサインとなるでしょう。
あなたのキャリアや成長を考えた際、人間関係の悪い環境ではその可能性が閉ざされるかもしれません。人間関係のトラブルで悩んでいるなら、退職を検討してはどうでしょうか。
ただし、すべてが会社の辞め時にあたるわけではありません。問題が特定の1人にあるのか、職場全体の風土にあるのかで判断が変わります。
| 状況 | 見立て | 取れる選択肢 |
|---|---|---|
| 特定の1人との関係が原因 | 変わる余地がある | 異動・配置転換を申し出る |
| 部署全体で同じことが起きている | 変わりにくい | 社内の他部署か、転職を検討 |
| 過去に異動を申し出たが通らなかった | 変わる見込みが低い | 会社の辞め時のサインとして扱う |
なお、相手の言動がハラスメントに該当する場合は、この項目ではなくサイン⑧(ハラスメント)の対応が必要です。我慢の対象にせず、記録を残したうえで相談窓口に申し出てください。
社内に窓口がない場合や、相談しても対応してもらえない場合は、外部の窓口も利用できます。窓口の一覧は「辞め時を感じたときの相談先|1人で決めない」でまとめています。
サイン②:仕事に対するモチベーションが湧かない
やる気が出ない状態が半年以上続き、担当が変わっても戻らない場合は、会社の辞め時のサインです。
仕事に対するモチベーションが湧かなくなったと感じたら、仕事を見直す、あるいは環境を変えるべきタイミングのサインかもしれません。
モチベーションが低下するのには、次のような理由が考えられるからです。
- 仕事内容が自分の価値観や目標と合致していない
- 成長や学びの機会が少ない
- 報酬や評価が不十分
このうち報酬や評価は会社の制度に紐づくもので、本人の働きかけでは変わりません。そこが原因である場合、意欲だけを取り戻そうとしても長続きしないのが実際のところです。
仕事に対するモチベーションの低下は、キャリアの成長や発展を阻害する要因になり得ます。
モチベーションの維持はスキルの向上やキャリアの発展に直結するので、その維持や向上は非常に重要です。キャリア形成の視点で考えても、モチベーション低下は環境を変えるサインと言っていいでしょう。
なお、意欲が落ちる背景には、業務量や責任の重さがあることも少なくありません。
厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査では、仕事や職業生活に強い不安・悩み・ストレスを感じる事柄がある労働者は68.3%で、その内容は「仕事の量」43.2%、「仕事の失敗、責任の発生等」36.2%、「仕事の質」26.4%の順でした。
※出典:厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要」15ページ 第17表
ただし、やる気の低下がすべて会社の辞め時にあたるわけではありません。見極めのポイントは期間と範囲です。
| 状況 | 見立て | 取れる選択肢 |
|---|---|---|
| 繁忙期や特定の案件が終われば戻る | 一時的な落ち込み | 休暇を取り、様子を見る |
| 担当業務が変わると回復する | 仕事内容との相性 | 社内で異動を申し出る |
| 半年以上続き、担当が変わっても戻らない | 会社との相性 | 会社の辞め時のサインとして扱う |
仕事のやる気が出なくて悩んでいる人は、こちらの記事もご覧ください。
サイン③:給与アップが見込めない
昇給の基準が示されないまま給与が上がらない状態は、個人では変えにくく、会社の辞め時のサインです。
給与はあなたの成果やスキル、市場価値を示す指標の一つ。給与が低かったり給与アップが見込めないということは、今の会社があなたを正当に評価していない可能性が考えられます。
また、会社の業績不振の可能性もあるため、仕事を辞める基準の一つとなるでしょう。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、男性が前職を辞めた理由のうち「給料等収入が少なかった」は10.1%で、定年・契約期間の満了を除くと最も多い理由でした。女性でも8.3%を占めています。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」表5
給与の停滞が一時的なものであれば状況が改善するのを待つか、自らのスキルアップで乗り越えることができるかもしれません。しかし、報酬の低い状態が続くようであれば、その業界や会社の将来性が不透明であると判断して転職を検討することも選択肢となります。
待つか動くかの分かれ目は、昇給の基準が存在するかどうかです。
| 状況 | 見立て | 取れる選択肢 |
|---|---|---|
| 昇給基準があり、要件に届いていない | 変えられる余地がある | 必要な要件を確認して埋める |
| 基準はあるが、同僚も昇給していない | 会社の業績側の問題 | 業績の推移とあわせて判断する |
| 基準がなく、上長の裁量で決まる | 成果が反映されにくい | 会社の辞め時のサインとして扱う |
なお、同じ令和6年雇用動向調査によると、転職した人の賃金は前職と比べて「増加」が40.5%、「減少」が29.4%で、増加が減少を11.1ポイント上回っています。転職が必ず年収アップにつながるわけではありませんが、環境を変えることで待遇が上がる人の方が多いのが現状です。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」表6
サイン④:成長を感じられない
新しい仕事を任される機会がなく、任される範囲が入社時から変わっていない状態は、会社の辞め時のサインです。
日々の業務がルーチンワークばかりになってしまい、新しい挑戦や学びの機会が少ないと感じているなら退職を考えるサイン。
仕事における成長の停滞は、植物が水や日光を得られない状態と同じ。時間が経つにつれ植物は枯れるように、あなたの市場価値も低下していくでしょう。
成長を感じられるかどうかは主観に左右されますが、会社が教育訓練にどれだけ手をかけているかは客観的に確認できます。
厚生労働省の令和6年度能力開発基本調査では、教育訓練費用を支出した企業は54.9%、計画的なOJTを正社員に実施した事業所は61.1%でした。一方で、OFF-JT(通常の業務を離れて行う研修)を受講した労働者は37.0%にとどまっています。
※出典:厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査 調査結果の概要」
今の会社に研修制度や計画的なOJTがまったくない場合、社外に持ち出せる力は自力で身につけるしかありません。それが難しい環境であれば、会社の辞め時と考える根拠になります。
このような状態に陥らないためにも、新しいことにチャレンジできたり成長機会がある会社に転職するのも選択の一つです。
ただし、成長の実感は環境だけでなく、本人の関わり方にも左右されます。転職を考える前に、次の3点を確認してください。
- 希望を伝えれば、新しい仕事を任せてもらえる会社か
- 研修や資格取得の支援制度があり、実際に使われているか
- この1年で、以前はできなかった業務が1つでも増えたか
手を挙げても機会が回ってこない状態が続いているなら、環境側の問題です。会社を辞めた方がいいサインとして扱ってかまいません。
サイン⑤:自分のスキルや強みを活かせる仕事ができない
持っているスキルと任される業務のずれが続く場合、経験が積み上がらないため、会社の辞め時のサインです。
自分の能力や経験を最大限に活かして仕事に取り組める環境だと自分の存在価値を感じ、仕事の満足度も高まります。
しかし、そのスキルや強みを活かせない会社では、自分のキャリアの方向性や将来に対する不安が増すでしょう。そのため、仕事の内容が合わないと感じることも、仕事を辞めた方がいいサインです。
たとえば、以下のような状況は自分の強みやスキルが十分に活かされていない明確なサインと言えます。
- マーケティングのスキルを持っているのに、事務作業ばかりを任される
- 人とのコミュニケーションが得意なのに、一人でのデスクワーク中心の仕事を任される
実際に、これを理由に会社を辞める人は一定数います。厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、前職を辞めた理由として「能力・個性・資格を生かせなかった」を挙げた人は男性3.8%、女性3.7%、「仕事の内容に興味を持てなかった」は男性4.4%、女性3.6%でした。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」表5
自分のスキルや強みを活かせない職場は長期的にはキャリアの停滞を招く可能性があるため、辞めた方がいいかもしれません。
ただし、同じ会社でも部署や担当が変われば、任される仕事は大きく変わります。転職の前に、社内で動く余地があるかを確認してください。
| 状況 | 見立て | 取れる選択肢 |
|---|---|---|
| 社内公募や職種転換の制度があり、使われた実績もある | 変えられる余地がある | 制度を使って希望を出す |
| 制度はあるが、実際に使われた例がない | 期待しにくい | 希望を出しつつ、並行して情報収集 |
| 制度がなく、配置は会社が一方的に決める | 変えられない | 会社の辞め時のサインとして扱う |
なお、自分の強みが何かを言葉にできていない場合は、その整理が先です。強みがあいまいなままだと、転職しても同じミスマッチが起きやすくなります。転職において自分の強みを見つけたい人はこちらの記事も合わせてご覧ください。
サイン⑥:会社と自分の仕事に対する価値観が変わった
会社の方針と自分の価値観がずれたままの状態は、話し合いで戻るものではなく、会社の辞め時のサインです。
仕事を辞めるサインとして、社風と自分の仕事に対する価値観がズレてくることも挙げられるでしょう。
最近の就活生は、企業選びの基準として「社風・人」を重視する人が多いそうです。
就活生でなくとも、働いている中で自分の仕事に対する価値観が変わることもあります。
価値観のずれは、必ずしも自分の側の変化だけで起きるものではありません。次の2つのパターンがあります。
- 自分の価値観が変わった/結婚や出産、身近な人の病気、年齢を重ねたことなどをきっかけに、仕事に求めるものが変わる
- 会社の方針が変わった/経営者の交代、M&A、業績悪化などをきっかけに、それまでの方針が転換される
どちらの場合も、どちらが正しいという問題ではないため、上司との話し合いで解消するものではありません。会社の辞め時かどうかは、今後ずれが埋まる見込みがあるかどうかで判断してください。
社風が合わない会社で働き続けても、不満やストレスを抱えてしまうだけ。その変化を理解し、自分の価値観に合った環境を見つけることが大切です。
判断に迷う場合は、次の点を確認してください。
| 状況 | 見立て | 取れる選択肢 |
|---|---|---|
| 特定の部署や上司の方針が合わない | 変わる余地がある | 異動を申し出る |
| 経営体制が変わる予定がある | 様子を見る価値がある | 方針が固まるまで判断を保留する |
| 会社全体の方針として定着している | 変わらない | 会社の辞め時のサインとして扱う |
なお、厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、前職を辞めた理由として最も多いのは男女とも「その他の個人的理由」(男性20.2%、女性24.3%)でした。
給与や人間関係といった分類に収まらない理由で会社を辞める人は、実際に多くいます。価値観のずれをうまく説明できなくても、辞める理由として弱いわけではありません。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」表5
サイン⑦:残業や休日出勤が多く、ワークライフバランスを確保できない
月80時間を超える残業が続く職場は健康への影響が出やすく、会社の辞め時にあたります。
残業や休日出勤が多い職場だと以下のような弊害があります。
- ストレスを抱えやすくなる
- 心身ともに体調を崩しやすくなる
- 趣味にあてる時間が減り、リフレッシュできない
- 自己学習の機会が減り、スキルアップしにくくなる
- 疲労により仕事の効率が悪くなる
さらに残業時間が50時間を超えると、メンタルへの影響が急激に悪化するという研究結果もあります。
残業時間とメンタルヘルスとの関係は,残業時間を含む週当たりの労働時間が50 時間を超えるあたりから急激に悪化する非線形な関係であると指摘する。
国も、長時間労働と健康被害の関係について具体的な数値を示しています。
厚生労働省の脳・心臓疾患の労災認定基準では、発症前1か月におおむね100時間、または発症前2〜6か月間で1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合、業務と発症との関連性が強いと評価するとされています。
※出典:厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定(過労死等の労災補償Ⅰ)」5ページ
この水準は「これを超えたら危険」という目安であり、下回っていれば問題ないという意味ではありません。同じ基準では、月45時間を超えたあたりから、業務と発症の関連性が徐々に強まるとされています。まずはご自身の直近6か月の残業時間を確認してみてください。
今の仕事にやりがいや誇りを持っているなら別ですが、そうでなければ継続的な残業や休日出勤は自分の大事な時間を浪費しているだけ。あなたの健康やプライベート時間を確保するためにも、辞める決断が大切です。
なお、厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、女性が前職を辞めた理由の最上位は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」12.8%で、男性でも8.6%を占めていました。労働条件を理由に会社を辞める人は珍しくありません。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」表5
ただし、繁忙期だけの一時的なものであれば、辞め時とは限りません。改善の見込みがあるかどうかで判断してください。
| 状況 | 見立て | 取れる選択肢 |
|---|---|---|
| 特定の時期だけ集中し、その後は落ち着く | 一時的な負荷 | 繁忙期明けにあらためて判断する |
| 会社が人員補充や業務量の見直しに着手している | 改善の見込みがある | 半年程度、実際に変わるかを見る |
| 方針は示されるが、人員も業務量も変わらない | 改善しにくい | 会社の辞め時のサインとして扱う |
サイン⑧:ハラスメントがある
ハラスメントは個人の努力で止められるものではなく、会社が動かない場合は明確な辞め時のサインです。
昨今、ハラスメントは職場における人間関係のトラブルの中でも、特に深刻な問題として取り上げられています。
- 上司からの過度な指示や無理な要求
- 同僚からの嫌がらせや差別
- 性的な言動によるセクシュアルハラスメント
これらの行為は被害者の精神的・身体的な健康を害するだけでなく、職場の雰囲気やチームワークにも悪影響を及ぼします。
厚生労働省の令和5年度調査では、過去3年間に勤務先でパワハラを受けた労働者は19.3%でした。行為者は「上司(役員以外)」が65.7%と最も多く、受けた後の行動は「何もしなかった」が36.9%で最多となっています。
※出典:厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」21〜23ページ
そして、ハラスメントが横行する職場環境を変えるのは容易ではありません。ハラスメントで悩んでいるなら、すぐにでも次の職場を見つけて転職した方がいいでしょう。
同じ調査では、会社がハラスメントを把握していた場合でも「特に何もしなかった」が53.2%、「ハラスメントがあったともなかったとも判断せずあいまいなままだった」が61.4%を占めていました。相談すれば必ず解決するとは限らないのが実情です。
※出典:厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」25〜26ページ
なお、2022年4月からは企業規模を問わず、すべての事業主にパワハラ防止措置が義務づけられています。相談窓口の設置と周知は、会社が果たすべき義務です。会社の辞め時かどうかは、次の順序で判断してください。
| 状況 | 見立て | 取れる選択肢 |
|---|---|---|
| まだ誰にも相談していない | 判断はこれから | 記録を残し、社内外の窓口に相談する |
| 相談し、会社が調査や配置転換に動いた | 改善の見込みがある | 経過を見る |
| 相談したが、会社が対応しなかった | 変わらない | 会社の辞め時のサインとして扱う |
相談の際は、いつ・どこで・誰から・何を言われたか・その場に誰がいたかを記録しておいてください。社内に窓口がない場合や、相談しても対応してもらえない場合は、総合労働相談コーナー(各都道府県労働局・労働基準監督署)などの外部窓口が利用できます。
窓口の一覧は「辞め時を感じたときの相談先|1人で決めない」でまとめています。
ハラスメントが起きやすい会社には共通する特徴があります。次の職場選びで同じ状況を避けるためにも、あわせてご確認ください。
サイン⑨:仕事の成果や実績を正当に評価してもらえていないと感じる
評価の基準が示されないまま成果が処遇に反映されない状態は、個人では変えられず、会社の辞めどきにあたります。
会社の評価制度に問題がある場合、それが原因で自分の実績や努力が適切に評価されません。そのような環境で働き続けても市場価値に見合った評価をされず、年齢だけ重ねていくことになるでしょう。
そのため、あなたの仕事での成果や実績を正当に評価してもらえていないと感じ始めたら、今の会社の辞めどきかもしれません。
不当な評価制度の環境では、以下のようなデメリットがあります。
- モチベーションの低下
- 自己評価の低下
- キャリアの停滞
- 職場の人間関係の悪化
評価の納得感には、制度そのものよりも基準が本人に共有されているかどうかが影響します。
厚生労働省の令和6年度能力開発基本調査では、キャリアコンサルティングを行うしくみを正社員に対して導入している事業所は49.4%にとどまっており、およそ半数の職場では、キャリアや評価について会社と話し合う機会が制度として用意されていません。
※出典:厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査 調査結果の概要」
評価に納得できない状態が続いているなら、まずは面談の場で「次の等級に上がるには何が必要か」を具体的に確認してみてください。ここで明確な答えが返ってこない場合、基準そのものが存在しない可能性があります。
このような弊害に足を引っ張られないためにも、評価制度が整った職場を探すのも手段の一つです。
判断の分かれ目は、評価が「基準はあるが自分が届いていない」のか、「基準そのものがない」のかです。
| 状況 | 見立て | 取れる選択肢 |
|---|---|---|
| 基準が示され、不足している点も説明された | 変えられる余地がある | 指摘された点を埋める |
| 基準はあるが、運用されていない | 期待しにくい | 改善を求めつつ、並行して情報収集 |
| 基準がなく、上長の裁量だけで決まる | 変えられない | 会社の辞め時のサインとして扱う |
なお、評価に納得できない状態が長引くと、社外に説明できる実績も積み上がりにくくなります。転職の際は職務経歴として実績を示す必要があるため、自分の成果は評価とは別に、日付と数字で記録しておくことをおすすめします。
サイン⑩:会社の倫理観が損なわれている
不正や違法行為が容認されている会社は、在籍し続けること自体が不利益になるため、早めの辞め時です。
「今の会社はグレーなことをやっているのでは?」と倫理観を疑うようになったら、今の会社を辞めた方がいいサインの一つ。
倫理観が欠如した会社の特徴として、まず、不正や違法行為を容認する、または見逃す風土が存在することが挙げられます。また、社内でのハラスメントや差別が放置される、または正当化される状況が存在することです。
その他、従業員や顧客、取引先との関係において公平性や透明性を欠いた取引が行われる点も挙げられるでしょう。
こういった会社の倫理観の欠如は、会社の健全性や信頼性が失われる要因。トラブルが起きてから転職すると「問題を起こした会社の元社員」というイメージがついてしまうため、早めに仕事を辞めた方がいいでしょう。
判断の材料になるのが、内部通報制度が機能しているかどうかです。
公益通報者保護法により、常時使用する労働者が301人以上の事業者には、公益通報対応業務従事者の指定と内部通報の受付窓口の整備が義務づけられています(300人以下の事業者は努力義務)。また、通報したことを理由とする解雇や不利益な取扱いは、会社の規模を問わず禁止されています。
なお、2025年6月に公布された改正法は2026年12月1日に施行され、体制整備義務の内容として従業員への周知が法律上明示されるほか、従事者指定義務に違反した場合の命令・罰則が新設されます。
※参考:政府広報オンライン「公益通報者保護法が改正。「内部通報制度」で不正をストップ!」
窓口があるかどうかではなく、実際に通報が受け付けられ、調査や是正が行われた実績があるかを確認してください。制度はあっても機能していない場合、指摘によって状況が改まる見込みは低くなります。
| 状況 | 見立て | 取れる選択肢 |
|---|---|---|
| 気になる点はあるが、違法かどうか判断できない | 判断はこれから | 事実を記録し、外部の窓口に相談する |
| 内部通報の窓口があり、過去に是正された例がある | 改善の見込みがある | 制度を使って通報する |
| 窓口がない、または通報しても放置される | 変わらない | 会社の辞め時のサインとして扱う |
社内で相談しづらい場合は、消費者庁の公益通報者保護制度に関する相談ダイヤルや、法テラス(日本司法支援センター)などの外部窓口が利用できます。窓口の一覧は「辞め時を感じたときの相談先|1人で決めない」でまとめています。
倫理観に問題のある会社には、入社前に見分けられる特徴もあります。次の職場選びのためにも、あわせてご確認ください。
サイン⑪:優秀な社員がどんどん辞めていく
中核の社員が続けて辞めている会社は、内部に共通の問題を抱えている可能性が高く、辞め時のサインです。
優秀な社員や、高いポジションの人がどんどん辞め始めるようであれば、会社を辞めた方がいいタイミングかもしれません。
優秀な社員ほど、自身のキャリアプランやスキルアップを考えて行動している傾向にあります。そういった社員が辞めていくということは、会社に不満があったりその他の問題があったりする可能性が高いからです。
また、優秀な社員がどんどん辞めていけば人手不足になったり、作業効率が悪くなったりする可能性もあります。そのような環境では高待遇を期待できないため、早めに辞めて転職した方が賢いのではないでしょうか。
判断の材料として、まずは全体の水準と比べてどうかを確認してください。厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、常用労働者の年間離職率は15.0%でした。前年の15.4%から0.4ポイント低下しています。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況(報道用発表資料)」
おおよそ7人に1人が1年のうちに職場を離れている計算になるため、退職者が出ること自体は珍しくありません。問題は誰が、どのくらいの間隔で辞めているかです。
| 状況 | 見立て | 取れる選択肢 |
|---|---|---|
| 退職が時期的に分散し、補充もされている | 通常の入れ替わり | とくに対応は不要 |
| 同じ部署から短期間に複数人が辞めた | 部署固有の問題がある | 退職理由を確認し、異動も検討する |
| 中核メンバーの退職が続き、補充もされない | 会社全体の問題 | 会社の辞め時のサインとして扱う |
とくに注意したいのが、退職者の穴埋めが自分に回ってきている場合です。業務量が増えれば残業が増え、疲労が蓄積し、さらに退職が続くという流れになりがちです。担当業務が半年で明らかに増えているなら、サイン⑦(残業や休日出勤)とあわせて確認してください。
サイン⑫:会社の業績が悪く、将来に不安を感じる
業績悪化が続き、再建の道筋が示されない会社は、個人では変えられないため会社の辞めどきです。
業績が悪くなっている会社には将来性を期待できないでしょう。今の会社の業績が悪くなり、賞与が出ないor減額されたといった事態になっているなら辞めどきと言えます。
組織の業績が悪化する背景には、業界の変化や競合との競争など多岐にわたる要因が考えられます。
将来への不安を理由に会社を辞める人は、近年増えています。厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、前職を辞めた理由として「会社の将来が不安だった」を挙げた人は男性7.4%、女性5.1%でした。男性ではこの項目が前年からの上昇幅が最も大きい理由(2.2ポイント上昇)となっています。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」表5
そのため、特に業績の悪化が継続的に見られる場合や、経営陣からの具体的な再建策やビジョンが示されない場合は新しい職場へ転職した方がいいでしょう。
ただし、「なんとなく不安」という段階で判断するのは避けてください。まずは公開されている事実で確かめることができます。
- 上場企業/決算短信や有価証券報告書で、売上・利益の推移を確認する
- 非上場企業/官報の決算公告、取引先の変化、採用活動の停止などから推測する
- 共通/賞与の支給実績、経費精算の締めつけ、退職者の補充状況を見る
数字を確認したうえで、次の点から判断してください。
| 状況 | 見立て | 取れる選択肢 |
|---|---|---|
| 単年度の赤字で、原因も説明されている | 一時的な可能性がある | 翌年度の推移を見る |
| 業績は厳しいが、再建策と期限が示されている | 見極めの余地がある | 示された期限まで様子を見る |
| 悪化が続き、方針の説明もない | 変わらない | 会社の辞め時のサインとして扱う |
なお、業績悪化を理由に転職を考える場合、会社の状況が本格的に悪くなる前に動くほうが選択肢は多く残ります。人員整理が始まってからでは、同時期に同業他社へ応募が集中することもあるためです。
サイン⑬:疲れているのに寝れない日が続く
疲れているのに眠れない状態が続いている方は、辞めるかどうかの判断より先に、休息と相談を優先してください。
厚生労働省の「e-ヘルスネット」によると、不眠症には入眠障害(寝つきが悪い)、中途覚醒(眠りが浅く途中で何度も目が覚める)、早朝覚醒(早朝に目覚めて二度寝ができない)などのタイプがあり、そのために日中に倦怠感や意欲低下、集中力低下などの不調が出る状態を指すとされています。
不眠の原因はストレス、心や体の病気、薬の副作用などさまざまで、原因に応じた対処が必要とされています。
そのため、疲れているはずなのになかなか寝れない状態が続いている方は、仕事の負担が影響している可能性があります。ただし、原因の切り分けは自分自身では判断しにくい領域です。会社を辞めるかどうかを考える前に、まず休息を取り、専門の窓口に相談することを優先してください。
厚生労働省が過重労働対策として周知している「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)」では、最近1か月間の自覚症状として「よく眠れない」「イライラする」「不安だ」「落ち着かない」「ゆううつだ」などの項目が挙げられています。これらの頻度と勤務の状況から、疲労の蓄積度を確認できます。
※参考:中央労働災害防止協会「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)活用ガイド」
眠れない状態が続いているときは、判断力そのものが落ちていることがあります。この状態で転職活動を始めても、条件の見極めが難しくなります。メンタルが不調でどうしようもないときは、まずは相談先の確認から始めてください。
サイン⑭:朝起きられない
休日は起きられるのに仕事の日だけ起きられない方も、判断の前に休息と相談を検討する段階です。
「休日の朝は起きられるのに、仕事の日は朝起きられない」という状態が続いている方は、仕事の負担が影響している可能性があります。
厚生労働省委託事業の「こころの耳」では、朝早く目覚めて再び眠ることができない早朝覚醒について、週の半分以上でそうした状態があり不快を伴うときに症状としてとらえるとされ、うつ病では比較的早期からみられる症状でもあると説明されています。
朝起きられない背景には、睡眠不足だけでなく、生活リズムの乱れや心身の状態など複数の要因が関わります。原因の切り分けは自分自身では判断しにくいため、会社を辞めるかどうかを決める前に、まず相談できる先を確保してください。
この状態が続いているときに転職活動を始めると、企業研究や条件の比較に必要な集中力を保ちにくく、決断を急いでしまうことがあります。休養を取ってから判断しても遅くはありません。
相談先は「辞め時を感じたときの相談先|1人で決めない」でまとめています。職場の産業医や産業保健スタッフ、地域の産業保健総合支援センターなど、在職のまま利用できる窓口もあります。
なお、休職という選択肢もあります。心身を休めたうえで、本当に会社を辞めるべきか、今の職場で改善できることはあるかを落ち着いて考える時間を確保できます。
「辞めたい」と思う理由の種類|自分がどれに当てはまるかを知る
仕事を辞めたい理由は、待遇・人間関係・仕事内容・将来性・働き方・心身の6種類に分けられます。どの種類かによって、辞め時かどうかの判断も変わります。
ここまでの14のサインで当てはまるものがあった方も、まだはっきりしない方も、まずは自分の「辞めたい」がどの種類にあたるかを確認してみてください。理由の種類がわかると、社内で解決できるのか、それとも会社を変えるしかないのかが見えてきます。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、実際に転職した人が前職を辞めた理由が集計されています。
個人的理由のうち割合が高いのは、男性が「給料等収入が少なかった」10.1%、「職場の人間関係が好ましくなかった」9.0%、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」8.6%の順です。
女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」12.8%、「職場の人間関係が好ましくなかった」11.7%、「給料等収入が少なかった」8.3%の順でした。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」表5
これらを整理すると、次の6種類になります。
| 種類 | 代表的な理由 | 自分で変えられるか | 該当する場合に読むところ |
|---|---|---|---|
| 待遇への不満 | 給与が上がらない、評価が反映されない | 変えにくい | サイン③・サイン⑨ |
| 人間関係の問題 | 上司との関係、職場の雰囲気、ハラスメント | 部分的に変えられる | サイン①・サイン⑧ |
| 仕事内容が合わない | 興味が持てない、強みを活かせない、やりがいがない | 部分的に変えられる | サイン④・サイン⑤・サイン⑥ |
| 会社の将来性への不安 | 業績悪化、方針が示されない、退職が続く | 変えられない | サイン⑪・サイン⑫ |
| 働き方が合わない | 長時間労働、休日が取れない、勤務地 | 変えにくい | サイン⑦ |
| 心身の不調 | 眠れない、朝起きられない、体調を崩した | 変えられない(要休養) | サイン⑬・サイン⑭ |
複数に当てはまることもあります。その場合は、最も強く感じているものから順に確認してください。以下で、それぞれの種類について詳しく見ていきます。
待遇への不満(給与・評価)
給与や評価への不満は会社の制度に原因があることが多く、個人の交渉では動きにくい種類です。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査でも、「給料等収入が少なかった」は男性10.1%、女性8.3%を占めています。とくに男性では、定年・契約期間の満了を除くと最も多い理由でした。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」表5
具体的には、次のような状況が当てはまります。
- 仕事量や労働時間に見合った給料ではない
- 成果を出しても報酬に反映されない
- 高いスキルや資格を持っているのに給料がそれに見合っていない
- 管理職クラスの責任あるポジションなのに給与が上がらない
- 土日出勤もあるのに十分な手当がない
- 上司の気分などで不当に低い評価を受ける
- 昇進や昇給が、実力や成果に関係なく決まる
給与と評価をひとまとめにしているのは、多くの会社で両者が連動しているためです。評価が上がらなければ等級も上がらず、給与も動きません。「給料が安い」という不満の裏に、評価制度の問題が隠れていることもあります。
この種類が自分に当てはまる方は、昇給の基準が示されているかを確認してください。基準があり、不足している点も説明されるのであれば、埋めることで状況が変わる可能性があります。
一方、基準そのものがなく上長の裁量だけで決まる場合、成果を出しても反映されにくい状態が続きます。
なお、待遇への不満は「今すぐ辞めなければならない」種類ではありません。在職のまま次を探せるため、焦らず条件を比較する時間を取れます。
人間関係の問題
人間関係は、相手が特定の1人か、職場全体の風土かによって、変えられるかどうかが分かれます。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、「職場の人間関係が好ましくなかった」を理由に前職を辞めた人は女性11.7%、男性9.0%でした。女性では、個人的理由のうち労働条件に次いで2番目に多い理由です。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」表5
「仕事は嫌じゃないけれど、人間関係がつらくて辞めたい」という状態は珍しくありません。次のような職場では、当事者でなくてもその場にいるだけで負担がかかります。
- ゴシップや陰口が常習化している
- 職場にいじめやハラスメントが存在する
- 報告や相談をすると、内容ではなく態度を指摘される
- 必要な情報が共有されず、確認しづらい空気がある
この種類が「部分的に変えられる」に分類されるのは、異動や配置転換で状況が変わる可能性が残るためです。特定の上司や同僚との関係が原因であれば、離れることで解決することもあります。
一方、職場全体で同じことが起きている場合は、個人の働きかけでは変わりません。過去に異動を申し出て通らなかった経験がある方は、会社の辞め時のサインとして受け止めてかまいません。
なお、相手の言動がハラスメントに該当する場合は、この分類とは扱いが異なります。我慢の対象にせず、記録を残したうえで相談窓口に申し出てください。詳しくはサイン①とサイン⑧をご覧ください。
仕事内容が合わない
仕事内容への不満は、業務そのものが合わないのか、任され方が合わないのかで判断が変わります。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、「仕事の内容に興味を持てなかった」を理由に前職を辞めた人は男性4.4%、女性3.6%、「能力・個性・資格を生かせなかった」は男性3.8%、女性3.7%でした。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」表5
この種類には、性質の異なる4つのパターンが含まれます。
| パターン | よくある状況 | 変えられる余地 |
|---|---|---|
| 強みを活かせない | 得意分野と違う業務ばかり任される、苦手なタスクが集中する | 担当替え・異動で変わる可能性がある |
| やりがいを感じない | 裁量がなく意見を反映できない、業務が単調で成長機会が少ない | 任される範囲が広がれば変わる可能性がある |
| 他にやりたい仕事が見つかった | 別の職種や業界に関心が向いている | 社内に該当する部署があるかによる |
| 方針や社風が合わない | 会社の価値観と自分の考え方がずれている | 変わりにくい |
たとえば、次のような期待と現実のギャップが起きているケースです。
- クリエイティブな仕事を求めてデザインの職に就いたが、実際には事務作業が中心
- 人とのコミュニケーションを得意として営業を選んだが、数字を追うばかりの日々が続く
- 高い専門性を身につけたいのに、判断を伴わない作業ばかりを任される
この種類が「部分的に変えられる」に分類されるのは、同じ会社でも部署や担当が変われば、任される仕事が大きく変わるためです。社内公募や職種転換の制度があり、実際に使われた実績があるなら、まずそちらを検討する余地があります。
ただし、上の表の4つ目「方針や社風が合わない」だけは、会社全体の価値観に関わるため異動しても変わる可能性が低いです。この場合は、会社の辞め時のサインとして扱うべきといえるでしょう。
なお、「何が合わないのか」を言葉にできていない状態で転職すると、同じミスマッチが起きやすくなります。上の表のどのパターンに近いかを確認してから動くことをおすすめします。
営業など特定の職種に固有の悩みについては、こちらもあわせてご覧ください。
会社の将来性への不安
将来性への不安は、個人の働きかけでは変えられないため、6種類のなかで辞め時に直結しやすい理由です。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、「会社の将来が不安だった」を理由に前職を辞めた人は男性7.4%、女性5.1%でした。男性ではこの項目が、前年からの上昇幅が最も大きい理由(2.2ポイント上昇)となっています。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」表5
具体的には、次のような状況が当てはまります。
- 会社の業績が継続的に低迷している
- 経営陣の方針や戦略が不明確で、将来のビジョンが見えない
- 技術やサービスが時代に合わなくなり、競合に差をつけられている
- デジタル化や新しい仕組みの導入に消極的
- 借入が増え、経営の安定性が低下している
- 中核となる社員の退職が続き、補充もされない
この種類が「変えられない」に分類されるのは、経営に関わる判断は個人の努力の範囲外であるためです。業務改善で自分の担当分野は良くできても、会社全体の方向性は動かせません。
ただし、「なんとなく不安」という段階で判断するのは避けましょう。
まずは公開されている事実で確かめられます。上場企業であれば決算短信や有価証券報告書、非上場企業であれば官報の決算公告や採用活動の状況が判断材料になります。賞与の支給実績や、退職者の補充がされているかどうかも、身近に確認できる指標です。
数字を確認したうえで、業績悪化が単年度なのか継続しているのか、再建策とその期限が示されているのかを見てください。悪化が続き、方針の説明もない場合は、会社の辞めどきと考えられます。
なお、会社の状況が本格的に厳しくなる前に動くほうが、選択肢は多く残ります。人員整理が始まってからでは、同時期に同業他社へ応募が集中することもあるためです。
働き方が合わない(労働時間・勤務地)
労働時間や勤務地の条件は会社の制度や事業構造に紐づくため、個人の希望だけでは変わりにくい理由です。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、女性が前職を辞めた理由の最上位が「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」12.8%で、男性でも8.6%を占めていました。女性ではこの項目が、前年からの上昇幅も最大(1.7ポイント上昇)となっています。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」表5
長時間労働が常態化する背景には、次のような事情があります。
- 人手が不足している
- 締め切りが迫っているプロジェクトが多い
- 急な依頼が入ることが多く、業務時間が不安定
- 上司が帰るまで帰りにくい風潮がある
- 業務時間外もクライアントや顧客の対応が必要
どれも個人の働き方を変えるだけでは解決しないものばかりです。仕事を早く終わらせても、人手が足りなければ次の業務が回ってきます。この種類が「変えにくい」に分類されるのはそのためです。
なお、労働時間だけでなく勤務地や勤務形態も、この種類に含まれます。転勤の可能性がある、在宅勤務が認められない、通勤に時間がかかりすぎるといった条件は、生活そのものに関わるため、我慢し続けるのが難しい部分です。
判断のポイントは、改善の見込みがあるかどうかです。繁忙期だけの一時的なものであれば、辞め時とは限りません。一方、会社が方針を示すだけで人員も業務量も変わらない状態が続いているなら、条件は当面そのままと考えられます。
心身の不調
心身に不調が出ている方は、理由の分類より先に、休息と相談を優先しましょう。
厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査では、仕事や職業生活に関することで強い不安・悩み・ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者は68.3%でした。その内容は「仕事の量」43.2%、「仕事の失敗、責任の発生等」36.2%、「仕事の質」26.4%の順です。
※出典:厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要」15ページ 第17表
体調に影響が出る背景には、次のような要因が重なっていることが多くあります。
- 長時間労働が続いている
- 休息が十分に取れていない
- 人間関係のストレスがある
- 相談できる相手やサポートがない
- 成果が正当に評価されない状態が続いている
この種類が他の5つと扱いが異なるのは、不調が出ている状態では、辞めるかどうかの判断そのものが難しくなるためです。眠れない日が続いていたり、朝起きられない状態が続いていたりする方は、集中力や判断力が落ちていることがあります。
まず休息を取り、相談できる先を確保することを優先してください。有給休暇の取得や休職という選択肢もあります。体調を整えたうえで、あらためて本当に会社を辞めるべきか、今の職場で改善できることはあるかを考えるようにしましょう。適応障害などになってしまう場合もあるからです。
相談先は「辞め時を感じたときの相談先|1人で決めない」でまとめています。職場の産業医や産業保健スタッフ、地域の産業保健総合支援センターなど、在職のまま利用できる窓口もあります。
理由がはっきりしない場合の整理のしかた
辞めたい理由を言葉にできない場合は、6分類のどれに近いかを当てはめるところから始めると整理できます。
「なんとなく続けたくない」「理由は説明できないが限界を感じる」という状態は珍しくありません。理由がはっきりしないまま転職すると、次の職場でも同じことが起きやすくなります。反対に、理由さえ整理できれば、辞めるかどうかの判断がつきやすくなります。
次の手順で書き出してみてください。
- 手順1:直近1か月で「嫌だ」と感じた場面を、日付とセットで5つ書き出す
- 手順2:それぞれが6分類のどれにあたるかを振り分ける
- 手順3:同じ分類に3つ以上集まったものが、今の主な理由
- 手順4:その分類が「自分で変えられるか」の欄でどう分類されているかを確認する
日付とセットで書き出すのは、頭のなかだけで考えると、直近の出来事に引きずられやすいためです。昨日あった嫌な出来事が大きく見え、半年間ずっと続いている問題が抜け落ちることがあります。
書き出したあとは、自分で解決できることと、自分では解決できないことに分かれます。
自分で解決できる問題であれば、考え方や仕事の進め方を変えることで状況が動く可能性があります。人間関係や会社の方針など後者に当てはまるものは、一人での解決は難しく、転職が選択肢に入ってきます。
どの分類にも当てはまらない、あるいは書き出すこと自体がつらいという場合は、心身の負担が大きくなっている可能性があります。その場合は無理に整理しようとせず、まず休息を取ってください。
なお、理由を整理する段階では、誰かに説明できる形にする必要はありません。自分が納得できれば十分です。退職を伝える際の理由の伝え方については、面接での答え方をまとめた記事があります。
同年代の人がどのような理由で転職を考えたかは、自社調査でもまとめています。
辞めると決めきれない方、伝えることに不安がある20代の方は、こちらもあわせてご覧ください。
まだ辞め時ではない5つのケース|辞めない方がいいサイン
辞めたい気持ちがあっても、まだ辞め時ではないケースがあります。一時的な負荷によるものか、働きかけても変わらない問題かで判断が分かれます。
ここまで14のサインを見てきました。当てはまるものがあった方も、それがそのまま「今すぐ辞めるべき」を意味するわけではありません。同じ不満でも、数か月後には状況が変わっているものと、何年経っても変わらないものがあるためです。
以下は、辞め時のサインと似て見えるものの、判断を急がない方がよい5つのケースです。あくまで「今の時点では判断材料が足りない」という意味であり、我慢を勧めるものではありません。
| 状況 | 辞め時のサイン | まだ辞め時ではない場合 |
|---|---|---|
| 業務量が多い | 人員も業務量も変わらない状態が1年以上続いている | 繁忙期や特定の案件によるもので、時期が過ぎれば戻る |
| 不満がある | 改善を求めたが、状況が変わらなかった | まだ誰にも伝えておらず、会社側が把握していない |
| 辞めたい理由 | 何が問題かを説明でき、自分では変えられないとわかっている | 「なんとなく」の段階で、言葉にできていない |
| 今後の見通し | 数年先も同じ状態が続くと見込まれる | 昇進・異動・組織変更などが決まっている |
| 在籍期間 | 1年以上働き、仕事の全体像を把握している | 入社から数か月で、判断材料がそろっていない |
眠れない、朝起きられない、体調を崩しているといった状態が続いている場合は、以下の5つのケースに当てはまるかどうかに関わらず、休息と相談を優先してください。詳しくは「辞め時を感じたときの相談先|1人で決めない」をご覧ください。
それぞれのケースを詳しく見ていきます。
ケース①:繁忙期など一時的な負荷が原因のとき
業務量の増加が特定の時期に限られている場合は、時期が過ぎてから判断しても遅くありません。
決算期、年度末、大型案件の納品前など、業務が一時的に集中する時期は多くの職場にあります。この時期は残業が増え、休みも取りにくく、辞めたい気持ちが強くなりやすいタイミングです。
厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査でも、仕事に関する強い不安・悩み・ストレスの内容として最も多いのは「仕事の量」43.2%でした。業務量が負担になること自体は、多くの人が経験しています。
※出典:厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要」15ページ 第17表
判断を分けるのは、その状態がいつまで続くかが見通せるかどうかです。
- 去年の同じ時期も同じくらい忙しかったか
- いつ落ち着くのか、時期の見当がつくか
- 落ち着いたあと、通常の業務量に戻った実績があるか
3つとも当てはまるなら、一時的な負荷である可能性が高い状態です。繁忙期が明けてから、あらためて判断しても選択肢は減りません。
一方、次のような場合は一時的とは言えません。忙しさが常態化しており、辞め時のサインとして扱う段階です。
- 繁忙期が明けても業務量が戻らない
- 1年を通して繁忙期のような状態が続いている
- 退職者の穴埋めで増えた業務が、補充されないまま定着している
なお、繁忙期であっても月80時間を超える時間外労働が続いている場合は別です。健康への影響が出る水準のため、一時的かどうかに関わらず、まず労働時間の記録を確認してください(詳しくはサイン⑦をご覧ください)。
「今の会社は落ち着いているが、このままでいいのか」と感じている方は、こちらもあわせてご覧ください。
ケース②:現職での改善をまだ試していないとき
不満を会社側に伝えていない段階であれば、伝えることで状況が変わる可能性が残っています。
「言っても無駄だろう」と感じて、誰にも相談しないまま転職を考える方は少なくありません。
厚生労働省の令和5年度調査では、職場でパワハラを受けた人のうち「何もしなかった」が36.9%で最も多く、その理由として最も多かったのは「何をしても解決にならないと思ったから」65.6%でした。
※出典:厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」23〜24ページ
ただし、伝えていなければ、会社側は問題を認識していないという点は押さえておく必要があります。同じ調査では、勤務先がハラスメントを「認識していた」割合はパワハラで37.1%にとどまっていました。
伝えるかどうかを決める前に、次の3点を確認してください。
- 不満の内容を、上司や人事に一度でも伝えたことがあるか
- 異動や担当替えの希望を、正式に申し出たことがあるか
- 社内に相談窓口や面談の制度があり、まだ使っていないものはないか
すべて「まだ」であれば、現職で試せることが残っている状態です。試したうえで変わらなければ、それは辞め時の判断材料になります。何もしないまま辞めると、次の職場で似た状況になったときに、同じ判断を繰り返すことになります。
一方、次のような場合は、これ以上試す必要はありません。
- すでに伝えたが、状況が変わらなかった
- 伝えたことで不利益な扱いを受けた
- 相談窓口がない、または機能していない
- 伝えること自体が心身の負担になっている
とくに伝えたことで立場が悪くなった場合は、改善の見込みがない会社と判断しても問題ありません。
なお、社内で相談しづらい場合でも、総合労働相談コーナー(各都道府県労働局・労働基準監督署)など外部の窓口が利用できます。
ケース③:辞めたい理由が言葉にできていないとき
「なんとなく辞めたい」の段階で動くと、次の職場でも同じことが起きやすくなります。
辞めたい気持ちがあるのに、何が嫌なのかをうまく説明できない状態は珍しくありません。ただし、この状態のまま転職すると、求人を選ぶ基準そのものが定まりません。給与だけを見て決めた結果、労働時間が問題だったことに後から気づく、といったことが起こります。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、転職した人の賃金は前職と比べて「増加」が40.5%である一方、「減少」も29.4%ありました。転職すれば条件が良くなるとは限らないため、何を優先するかを決めてから動く必要があります。
※出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」表6
とはいえ、理由が言葉にできないこと自体は問題ではありません。整理する手順を踏めば見えてきます。具体的な手順は「理由がはっきりしない場合の整理のしかた」にまとめていますが、ここでは判断に使うための書き方を補足します。
大切なのは、整理してみた結果によって、次に取るべき行動が変わるという点です。手順を試したあと、自分自身がどの状態になったかを以下で確認してください。
| 整理してみた結果 | 見立て | 次にすること |
|---|---|---|
| 特定の分類に集まり、自分では変えられないものだった | 辞め時の判断材料がそろった | 在職のまま情報収集を始める |
| 分類はできたが、自分で変えられるものだった | 現職で試す余地がある | ケース②の確認リストに戻る |
| 書き出しても、どれにも当てはまらなかった | 判断材料が足りない | 1か月ほど記録を続けてみる |
3つ目の「どれにも当てはまらなかった」という方は、しばらく記録を続けることをおすすめします。1日の終わりに、その日の出来事と気分を数行書き留めるだけで十分です。1か月ほど続けると、特定の曜日や相手、業務に偏りがあることが見えてくることがあります。
なお、書き出すこと自体がつらい、あるいは何も思い浮かばないという場合は、心身の負担が大きくなっている可能性があります。その場合は整理を急がず、休息を優先してください。
また、理由が言葉にできない状態でも、情報収集を始めること自体は問題ありません。他社の求人を見ることで、自分が何に反応するかがわかり、優先順位が見えてくることもあります。
ケース④:昇進・異動など状況が変わる見込みがあるとき
数か月以内に環境が変わる予定がある場合は、変わったあとの状態を見てから判断できます。
昇進の話が出ている、異動の内示が出た、組織改編が決まっている、苦手だった上司の異動が決まったといった変化が今後見込まれる場合、今の不満がそのまま続くとは限りません。辞め時かどうかは、変化のあとの状態で判断する方が正確です。
とくに、辞めたい理由が人間関係や仕事内容にある場合、異動によって状況が大きく変わることがあります。
厚生労働省の令和6年度能力開発基本調査では、キャリアコンサルティングを行うしくみを正社員に対して導入している事業所は49.4%で、前回より7.8ポイント上昇しました。社内でキャリアについて相談できる機会は、以前より増えています。
※出典:厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査 調査結果の概要」
ただし、「変わるかもしれない」という期待だけで待つのは避けてください。判断の目安は次のとおりです。
| 状況 | 見立て | 取れる選択肢 |
|---|---|---|
| 時期と内容が具体的に決まっている | 待つ価値がある | 変化のあと3か月ほど様子を見る |
| 可能性はあるが、時期は未定 | 期限を決めて待つ | 自分で期限を設定し、それまでに動きがなければ判断する |
| 以前も同じ話が出たが、実現しなかった | 期待しにくい | 辞め時のサインとして扱う |
2つ目の「時期は未定」に当てはまる方は、自分の中で期限を決めておくことをおすすめします。「次の期末までに動きがなければ判断する」といった形です。期限がないまま待ち続けると、状況が変わらないまま年月だけが過ぎることがあります。
なお、変化があったあともすぐに結論を出す必要はありません。新しい環境に慣れるまでには時間がかかるため、3か月ほど様子を見てから判断する方が実態をつかめます。
また、待っている期間に情報収集を進めておくことは可能です。在職のまま求人を見ておけば、環境が変わらなかった場合にすぐ動けます。
ケース⑤:入社から日が浅く、判断材料が足りないとき
入社から数か月の段階では、仕事の全体像がまだ見えておらず、判断材料がそろっていない場合も多いです。
新しい職場では、覚えることが多く、人間関係もできあがっていない状態が続きます。この時期に「合わないかもしれない」と感じるのは自然なことです。ただし、その感覚が入社直後だからなのか、本当に環境が合っていないのかは、しばらく働かないと区別がつきません。
実際、早い時期の離職は珍しくありません。厚生労働省が公表した令和4年3月卒業者の調査では、就職後3年以内の離職率は新規大卒就職者が33.8%、新規高卒就職者が37.9%でした。おおよそ3人に1人が3年以内に職場を離れています。
※出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
同じ調査では、事業所の規模によって離職率に差があることも示されています。大卒の場合、従業員1,000人以上の事業所では27.0%である一方、5人未満の事業所では57.5%と、2倍以上の開きがありました。産業別では、宿泊業・飲食サービス業が55.4%で最も高くなっています。
つまり、早い時期に辞める人が多い環境は実際に存在します。「3年は続けるべき」という考え方に、根拠があるわけではありません。ただし、判断するタイミングとしては、次の点を確認してから動く方が確実です。
- 年間の業務の流れを一通り経験したか(繁忙期・閑散期の両方を見たか)
- 教育期間が終わり、通常の業務量になったか
- 直属の上司以外の人とも、仕事で関わる機会があったか
- 入社前に聞いていた条件と、実際の条件に違いがないか
最初の3つがまだであれば、判断材料が足りない状態です。一方、4つ目に当てはまる場合は別の問題になります。求人票や面接で示された労働条件と実際が異なる場合、それは会社側の問題であり、在籍期間の長さに関わらず辞め時の判断材料になります。
また、次のような場合も在籍期間は関係ありません。
- ハラスメントを受けている
- 長時間労働が続き、心身に影響が出ている
- 聞いていた業務内容とまったく異なる仕事を任されている
- 労働条件が書面で示されていない
短期間で辞めることが選考でどう見られるかや、試用期間中の退職については、こちらで詳しく解説しています。
※このセクションが当てはまらないケース
心身に不調が出ている方は、5つのケースに関わらず、休息と相談を優先しましょう。
ここまで「まだ辞め時ではない5つのケース」を見てきましたが、次のような状態にある方は、これらに当てはまるかどうかを考える段階ではありません。
- 眠れない日、または朝起きられない日が続いている
- 食欲がない、または食べすぎる状態が続いている
- 出勤前に体調を崩す、涙が出るといったことがある
- 休日に休んでも疲れが取れない
- ハラスメントを受けている
- 1か月80時間を超える時間外労働が続いている
これらに当てはまる方に対して、「繁忙期だから」「まだ試していないことがあるから」といった理由で判断を先送りすることは、状況を悪化させる可能性があります。
厚生労働省が周知している「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)」でも、自覚症状と勤務の状況を組み合わせて疲労の蓄積度を確認することが想定されています。
※参考:中央労働災害防止協会「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)活用ガイド」
まず取れる選択肢は、辞めることだけではありません。
- 有給休暇を取る/数日でも業務から離れ、状態が変わるかを確認する
- 産業医・産業保健スタッフに相談する/在職のまま利用でき、会社への配慮の申し出につながることもある
- 休職を検討する/制度の有無と条件を就業規則で確認する
- 外部の窓口に相談する/社内で相談しづらい場合の選択肢
辞めるかどうかの判断は、体調が戻ってからでも遅くありません。むしろ、判断力が落ちている状態で決めた方が、後から見直したくなる可能性が高くなります。
相談先は「辞め時を感じたときの相談先|1人で決めない」でまとめています。職場の中で相談できる相手、公的な労働相談の窓口、心身の不調があるときの相談先を、状況別に整理しています。
辞め時かどうかを見極める4ステップ
辞め時かどうかは、辞めたい理由を書き出し、自分で変えられるかを切り分け、改善の見込みを確かめ、第三者に相談する順で判断できます。
ここまでで、当てはまるサインと理由の種類は整理できたかと思います。ここからは、実際に会社を辞めるときの判断を、順番に進める方法を説明します。
改善の見込みを判断する際の軸は2つだけです。「自分で変えられるか」と「変わる見込みがあるか」。この2つで切り分けると、感覚ではなく状況で判断できます。
まず、よくある不満を仕分けした表をご覧ください。
| よくある不満 | 自分で変えられるか | 変えられない場合の判断 |
|---|---|---|
| 仕事の進め方が非効率で時間がかかる | 変えられる(提案・工夫の余地がある) | 提案しても通らないなら、決定権の問題 |
| 特定の上司と合わない | 部分的に変えられる(異動・担当替え) | 異動が通らないなら、辞め時のサイン |
| 任される仕事の範囲が狭い | 部分的に変えられる(希望を出す) | 希望を出しても変わらないなら、方針の問題 |
| スキルが身につかない | 部分的に変えられる(社外での学習) | 学ぶ時間すら取れないなら、労働時間の問題 |
| 評価の基準がわからない | 確認はできる(面談で聞く) | 基準が存在しないなら、変えられない |
| 給与が上がらない | 変えにくい(昇給は制度で決まる) | 昇給の実績がないなら、辞め時のサイン |
| 残業が多い | 変えにくい(業務量は会社が決める) | 人員も業務量も変わらないなら、辞め時のサイン |
| 会社の業績が悪い | 変えられない | 再建策が示されないなら、辞め時のサイン |
上に行くほど自分で手を打てる余地があり、下に行くほど会社側の判断に左右されます。「変えられない」に自分の不満が集まっているほど、会社の辞め時が近いと考えて問題ありません。
ただし、この表だけで結論を出す必要はありません。次の4ステップを順に進めることで、判断の精度が上がります。
- ステップ①:辞めたい理由を書き出す
- ステップ②:自分で変えられることと、変えられないことを分ける
- ステップ③:変えられない場合、状況が変わる見込みがあるかを確かめる
- ステップ④:1人で決めず、第三者に相談する
ステップ①:辞めたい理由を書き出す
辞めたい理由を紙に書き出すことが、辞めるかどうかの判断に悩んだ際におすすめです。
書き出す作業を最初に置くのは、記憶が直近の出来事に引きずられやすいためです。昨日あった嫌な出来事が実際より大きく見え、半年間ずっと続いている問題が抜け落ちることがあります。書き出せば、両方を同じ土俵で比べられます。
具体的な手順は「理由がはっきりしない場合の整理のしかた」にまとめていますが、ここでは判断に使うための書き方を補足します。
- 事実と感情を分けて書く:「上司が嫌い」ではなく「先週、報告内容ではなく言い方を3回指摘された」
- いつから続いているかを書く:半年以上続いているものと、今月始まったものを区別する
- 頻度を書く:毎日なのか、月に一度なのかで重みが変わる
- 他の人にも起きているかを書く:自分だけなのか、部署全体なのかで原因が変わる
「上司が嫌い」と書いただけでは、次のステップで仕分けられません。何が起きているかを事実として書けば、変えられるかどうかを判断できます。
また、書き出したものは転職活動を始めたあとにも使えます。会社を辞めるときに何を優先したいかがはっきりしていれば、求人を選ぶ基準になります。給与を優先するのか、労働時間を優先するのか、仕事内容を優先するのかで、選ぶ会社は変わります。
反対に、理由が曖昧なまま次の職場を選ぶと、同じ不満を繰り返すことになる可能性があります。転職先を選ぶ際にも、この書き出しが判断の土台になります。
書いているうちにつらくなる、あるいは何も思い浮かばないという場合は、無理に続けないでください。心身の負担が大きくなっている可能性があります。その場合は休息を優先し、相談先を確認してください。
ステップ②:自分で変えられることと、変えられないことを分ける
書き出した理由を、自分の働きかけで変えられるものと、変えられないものに仕分けします。
この仕分けが判断の中心になります。同じ不満でも、自分で手を打てるものは辞める理由になりにくく、手を打てないものは辞め時の判断材料になるためです。冒頭の仕分け表を参考に、書き出した項目を振り分けてみてください。
判断に迷う場合は、次の問いで確認できます。
- この問題は、自分の行動や進め方を変えれば改善するか
- 上司や人事に伝えれば、解決する見込みがあるか
- 異動や担当替えで、状況が変わる可能性があるか
- 会社の制度や経営判断に関わることか
最初の3つのどれかに当てはまるなら「変えられる」側、4つ目に当てはまるなら「変えられない」側です。給与体系、評価制度、業績、経営方針、社風は、いずれも個人では動かせません。
仕分けたあとは、どちらに集まったかを見てください。
| 仕分けの結果 | 見立て | 次にすること |
|---|---|---|
| 「変えられる」側に集まった | 現職で試す余地がある | 実際に働きかけてみる |
| 「変えられない」側に集まった | 辞め時の可能性が高い | ステップ③へ進む |
| 両方に分かれた | 優先順位で判断する | 最も強く感じている項目がどちらかを見る |
「変えられる」側に集まった方は、まず働きかけてみることをおすすめします。試したうえで変わらなければ、それは「変えられない」側に移ります。何もしないまま辞めると、次の職場で似た状況になったときに同じ判断を繰り返すことになります。
一方、「変えられない」側に集まった方は、これ以上現職で試せることは多くありません。ただし、「変えられない=今すぐ辞めるべき」ではない点に注意してください。会社側の判断で状況が変わる可能性が残っているためです。
ステップ③:変えられない場合、状況が変わる見込みがあるかを確かめる
自分では変えられない問題でも、会社側の動きで状況が変わることがあります。
「変えられない」に仕分けた項目でも、会社が制度を変えたり、人員を補充したり、組織を改編したりすれば改善される可能性があります。ここで確認するのは、その動きが実際に起きる見込みがあるかどうかです。
見込みを測るときは、方針の表明ではなく実際に起きた事実で判断してください。「改善する予定です」という説明が繰り返されるだけで、人員も業務量も制度も変わっていないなら、見込みは低いと考えられます。
項目ごとの確認先は次のとおりです。
| 変えられない項目 | 確認すること | 見込みが低いと判断できる状態 |
|---|---|---|
| 給与が上がらない | 昇給の基準と、同僚の昇給実績 | 基準がなく、過去数年で昇給した人もいない |
| 評価されない | 評価基準が文書で示されているか | 基準が存在せず、面談でも説明がない |
| 残業が減らない | 人員補充や業務量の見直しが実行されたか | 方針は示されるが、半年経っても実態が変わらない |
| 業績が悪い | 再建策の内容と期限が示されているか | 数字の説明がないまま、負担だけが増えている |
| 人間関係 | 異動の申し出に対する回答 | 過去に申し出たが、通らなかった |
確認の結果、「次の期末までに動きがなければ判断する」といった形で見込みがある場合は期限を決めて待つという判断ができます。期限を決めずに待ち続けると、状況が変わらないまま年月が過ぎることがあります。
一方、見込みが低いと判断できる状態であれば、会社を辞めるタイミングを具体的に考える段階といえるでしょう。
なお、待っている期間に情報収集を進めることもできます。在職のまま求人を見ておけば、状況が変わらなかった場合に動きやすくなります。
会社選びで何を確認すればよいかは、こちらで解説しています。今の会社の状況を測る目安としても使えます。
ステップ④:1人で決めず、第三者に相談する
会社を辞めるかどうかは、1人で決める前に第三者の意見を聞くことで判断しやすくなります。
ここまでのステップは、すべて自分の中だけで進める作業です。そのため、見落としや思い込みが残ったままになりやすいという弱点があります。第三者に話すことで、自分の考えを客観的に見直す機会が得られます。
相談先は、目的によって使い分けられます。
| 相談先 | わかること | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 信頼できる上司・同僚 | 社内の事情、今後の見通し | 異動や制度変更の可能性を知りたいとき |
| 人事部 | 制度の内容、利用できる仕組み | 待遇や配置について正式に確認したいとき |
| 公的な労働相談窓口 | 労働条件が法令に沿っているか | 社内で相談しづらい、または対応されないとき |
| 転職エージェント | 社外から見た自分の評価、他社の条件 | 今の待遇が妥当かを知りたいとき |
このうち、判断材料として見落とされやすいのが社外から見た自分の評価です。今の会社での評価が低いと感じていても、社外では違う評価になることがあります。反対に、今の待遇が実は市場水準より高いこともあります。
転職エージェントに登録すると、担当者が経歴やスキルを聞き取り、求人市場での位置づけを教えてくれます。これを知っておくと、次の2つの判断がしやすくなります。
- 今の会社に残る場合:自分の待遇が妥当かどうかを判断できる
- 会社を辞める場合:「入社したら想定より業務のハードルが高い」「実績のわりに給与が低い」といったミスマッチを防げる
登録したからといって、転職しなければならないわけではありません。情報収集のためだけに使うこともできます。在職中であれば、条件が合わなければ今の会社に残るという選択がそのまま取れます。
ご紹介する転職サービスは監修者が推奨するものではありません。
「すぐ辞める」か「在職のまま準備する」かの決め方
会社を辞めるタイミングは、在職のまま次を探すのが基本です。ただし例外もあります。
在職のまま準備する方が有利なのは、収入が途切れず、焦らずに条件を比較できるためです。次の職場が決まってから辞められるので、離職期間も生じません。
一方、次のような場合は在職のまま進めることが難しく、先に辞める判断を優先しましょう。
- 心身に不調が出ており、転職活動に充てる余力がない
- ハラスメントを受けており、出社自体が負担になっている
- 長時間労働が続き、面接の時間を確保できない
- 会社の状況が悪化しており、給与の支払いに不安がある
この場合、健康や安全を優先して問題ありません。まず休職や有給休暇の取得を検討し、それでも難しければ退職を先に進めるという順序になります。
判断の目安をまとめると次のとおりです。
| 状況 | 向いている進め方 | 理由 |
|---|---|---|
| 心身は問題なく、不満が待遇や仕事内容にある | 在職のまま準備する | 収入を保ったまま条件を比較できる |
| 改善の見込みを待っている段階 | 在職のまま情報収集だけ進める | 状況が変われば、そのまま残る選択ができる |
| 心身に不調が出ている | 休職・休養を先に検討する | 判断力が落ちた状態で決めない |
| ハラスメントや給与未払いがある | 退職を優先し、並行して相談する | 在籍し続けること自体が不利益になる |
なお、退職後すぐに次の職場が決まっていない場合でも、雇用保険の基本手当(失業手当)を受けられることがあります。自己都合退職の場合、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが要件です。あわせて、ハローワークで求職の申込みを行い、就職する意思と能力があるにもかかわらず職に就けない「失業の状態」にあることも条件になります。
※出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」受給要件
給付日数は離職理由・年齢・被保険者であった期間によって決まり、全体では90日から360日の範囲です。自己都合退職などの一般の離職者は、被保険者であった期間に応じて次のとおりとなります。
| 被保険者であった期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 1年未満 | —(受給資格を満たさない) |
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
※出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
なお、倒産や解雇などで離職した場合(特定受給資格者)は、これより手厚い給付日数になります。
基本手当の1日あたりの上限額は年齢によって異なり、毎年8月1日に改定されます。金額は変動するため、最新の額はハローワークの公式サイトでご確認ください。
失業手当の詳しい条件や、次が決まっていない状態で辞める場合の進め方は、こちらで解説しています。
なお、何月に辞めるのが有利か、入社何年目で動くべきかといった時期の話は、この記事では扱いません。求人が増える時期やボーナスとの兼ね合いについては、こちらをご覧ください。
【体験談】会社を辞めようと思った瞬間
実際に会社を辞めた6人に、決断した瞬間を聞きました。共通していたのは、状況が変わらないと確信した出来事があったことです。
ここまで判断の材料を見てきましたが、実際に辞めた方がどのような場面で決断したのかも参考になります。
体験談は転職UPPP編集部が調査しています。


多くの方が、今回ご紹介した〈人間関係・パワハラ・給与の低さ〉などを仕事を辞めようと思った理由として挙げていました。
いずれの体験談にも共通していたのは、「この先も状況は変わらない」と確信できる出来事があったことです。一度きりの出来事ではなく、繰り返し起きていたり、改善を求めても応じてもらえなかったりした結果、辞める判断に至っています。
仕事の辞めどきとなるサインに気づいて退職しようと思うのは、あなただけではありません。
辞め時を感じたときの相談先|1人で決めない
辞めるかどうかは1人で決める必要はありません。職場の中では上司や人事、外部では公的な労働相談窓口やキャリアの専門家に相談できます。
判断に迷っている段階では、誰かに話すこと自体が整理になります。転職は選択肢のひとつであって、唯一の答えではありません。異動、休職、労働条件の是正など、ほかにも取れる道があります。
主な相談先は次のとおりです。
| 相談先 | どんなときに | 費用 |
|---|---|---|
| 上司・人事部 | 異動や制度の利用を検討したいとき | 無料 |
| 総合労働相談コーナー | 労働条件やハラスメントに疑問があるとき | 無料 |
| 労働条件相談ほっとライン | 平日夜間・土日に相談したいとき | 無料 |
| 産業医・こころの耳 | 心身の不調が続いているとき | 無料 |
| 転職エージェント | 社外から見た自分の評価を知りたいとき | 無料 |
職場の中で相談できる相手
社内の相談先は、異動や制度の利用といった転職以外の選択肢につながる点が特徴です。
上司には社内の事情や今後の見通しを、人事部には制度の内容や利用できる仕組みを確認できます。人事部は中立の立場から状況を聞き、会社の方針や制度に基づいて対応を検討する役割を担っています。
相談することで、自分の悩みが個人の問題なのか、会社の仕組みの問題なのかを切り分けられることもあります。社内に信頼できる相手がいる方は、辞める判断をする前に一度話してみてください。
公的な労働相談の窓口
社内で相談しづらい方や、労働条件そのものに疑問がある方は、無料の公的窓口を利用できます。
総合労働相談コーナーは、全国の労働局・労働基準監督署などに設置されています。賃金、解雇、配置転換、パワハラ、いじめなど職場のトラブル全般をワンストップで扱い、予約は不要です。
平日の日中に時間を取れない方には、労働条件相談ほっとラインがあります。労働基準監督署が閉庁している平日夜間や土日・祝日に対応する電話相談で、違法な時間外労働、過重労働による健康障害、賃金不払残業などを扱います。誰でも無料、匿名でも相談できます。
このほか、ハラスメントや人権に関わる問題では次の窓口も利用できます。
- 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室):セクハラ、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント
- みんなの人権110番(法務省):差別や虐待を含む人権問題全般。最寄りの法務局につながる
- 法テラス(日本司法支援センター):法制度や弁護士会などの窓口を無料で案内
相談の際は、いつ・どこで・誰から・何を言われたか・その場に誰がいたかを整理して持参すると、事実関係の確認がスムーズです。
心身の不調があるときの相談先
眠れない、朝起きられないといった状態が続いている方は、判断を進める前に医療や産業保健の窓口をご利用ください。
勤務先の労働者数が50人以上の事業場には産業医が選任されており、在職のまま健康相談を受けられます。50人未満の事業場にお勤めの方は、地域産業保健センターが利用できます。労働者数50人未満の事業場の労働者を対象に、健康相談や医師の面接指導などを無料で提供している機関です(事前の申し込みが必要です)。
職場を通さずに相談したい方には、厚生労働省の「こころの耳」があります。働く方やその家族を対象に、電話・SNS・メールで匿名・無料の相談を受け付けています。電話とSNSは平日17時〜22時、土日10時〜16時が受付時間です(祝日・年末年始を除く)。
※参考:こころの耳「働く人のこころの耳電話相談」/こころの耳SNS相談
なお、これらの窓口では病名の判断や治療方針の提示は行っていません。症状が続いている場合は、医療機関の受診をご検討ください。「こころの耳」では全国の医療機関を検索できます。
心身の不調が辞めたい理由の中心にある方や適応障害の可能性がある方は、こちらもあわせてご覧ください。
キャリアの専門家に相談する
社外から見た自分の評価を知りたい方は、転職エージェントやキャリアコンサルタントに相談する方法があります。
転職エージェントでは、担当者が経歴やスキルを聞き取り、求人市場での位置づけを伝えてくれます。登録したからといって転職しなければならないわけではなく、情報収集のためだけに使うこともできます。
なお、社内にキャリアについて相談できる仕組みがある場合もあります。厚生労働省の令和6年度能力開発基本調査では、キャリアコンサルティングを行うしくみを正社員に対して導入している事業所は49.4%でした。
※出典:厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査 調査結果の概要」
具体的なサービスは記事末の「転職サービス・退職代行の紹介」でまとめています。
辞めると決めたあとにやること
辞めると決めたあとにやることは、在職のまま次を探すか、辞めてから探すかで変わります。まずどちらで進めるかを決めてください。
順番を間違えると、選択肢が狭まることがあります。たとえば、先に退職日を伝えてから転職活動を始めると、次が決まらないまま離職期間が延びる可能性があります。反対に、体調に不安がある状態で在職のまま進めようとしても、面接の時間を確保できないことがあります。
どちらが向いているかは、次の観点で比較できます。
| 観点 | 在職のまま探す | 辞めてから探す |
|---|---|---|
| 収入 | 途切れない | 途切れる(失業手当を受けられる場合がある) |
| 活動に使える時間 | 限られる(面接の日程調整が必要) | 確保しやすい |
| 条件の比較 | 焦らず比較できる | 期間が延びるほど焦りやすい |
| 心身への負担 | 両立の負担がかかる | 休養に充てられる |
| 向いている状況 | 心身に問題がなく、不満が待遇や仕事内容にある | 体調に不安がある、出社自体が負担になっている |
どちらを選んでも、やることの中身は大きく変わりません。違うのは順番です。以下の4つを、決めた進め方に合わせて進めてください。
- 在職のまま探すか、辞めてから探すかを決める
- 就業規則で退職の申し出時期を確認する
- 退職を伝える準備をする
- 引き継ぎの段取りを立てる
在職のまま探すか、辞めてから探すかを決める
基本は在職のまま探す進め方がおすすめです。収入が途切れず、条件を比較する時間を確保できます。
在職中に転職活動を進めるメリットは以下の3つあります。
- 現在の収入を維持できるため経済的な不安が生じないこと
- 焦らず自分に合った職場を選べること
- 現職での実績をそのまま伝えられること
一方、次のような状況では、辞めてから探す判断が優先されます。
- 心身に不調が出ており、転職活動に充てる余力がない
- ハラスメントを受けており、出社自体が負担になっている
- 長時間労働が続き、面接の時間を確保できない
この場合は健康を優先してかまいません。先に休職や有給休暇の取得を検討し、それでも難しければ退職を先に進める順序になります。
なお、在職のまま進める場合、会社に知られずに活動できるかを気にする方は少なくありません。面接の日程調整や書類の受け取り方など、注意点はこちらでまとめています。
次の職場が決まっていない状態で辞める場合の進め方や、失業手当の詳しい条件は、こちらをご覧ください。
就業規則で退職の申し出時期を確認する
退職の申し出時期は就業規則で定められていることが多いため、伝える前に確認しておきます。
多くの会社では、就業規則に「退職しようとするときは○日前までに届け出ること」といった定めがあります。厚生労働省が公開しているモデル就業規則でも、退職を希望する場合は少なくとも30日前までに届け出るという規定例が示されています。
※参考:厚生労働省「モデル就業規則(令和7年12月版)」第7章 定年、退職及び解雇
一方、法律上は期間の定めのない雇用契約であれば、申し入れから2週間で退職できるとされています。民法第627条第1項に、雇用の期間を定めなかったときは各当事者がいつでも解約を申し入れることができ、申し入れの日から2週間の経過によって雇用が終了すると規定されているためです。
つまり、就業規則に「1か月前」と書かれていても、法律上は2週間で退職できます。ただし実務上は、引き継ぎや有給休暇の消化を考えると、就業規則の定めに沿って進める方がトラブルになりにくいのが実情です。
確認しておきたいのは次の4点です。
- 退職の申し出時期(何日前までに届け出るか)
- 届け出の方法(書面か、社内システムか)
- 有給休暇の残日数と、消化の扱い
- 退職金の有無と支給条件
就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業場では作成と周知が義務づけられています。手元にない場合は、人事部に確認するか、社内の共有フォルダなどで探してみてください。
なお、契約社員など期間の定めがある雇用契約の場合は扱いが異なります。原則として契約期間の途中で辞めることはできませんが、やむを得ない事由があるときは例外が認められます。判断に迷う場合は、総合労働相談コーナーなどにご相談ください。
退職を伝える準備をする
退職の意思は、直属の上司に口頭で伝える場合が多いです。そのため、伝える順序と時期を決めておきましょう。
準備しておくことは3点です。誰に、いつ、どう伝えるかを先に決めておくと、伝えた後の流れが進めやすくなります。
- 誰に:直属の上司へ最初に伝える。同僚や他部署へ先に話すと、上司が別経路で知ることになり関係が悪化しやすい
- いつ:就業規則の申し出時期から逆算する。繁忙期を避けられるとなお進めやすい
- どう:口頭で伝えたうえで、会社の定める方法で書面を提出する
在職のまま次を探している方は、内定が出て入社日が確定してから伝えるのが基本です。伝えた後に転職先が決まらない事態を避けるためです。
なお、退職理由をどう伝えるかで悩む方は少なくありません。ここでは扱いませんが、伝え方や実際の例文はこちらでまとめています。
「言い出しづらい」「引き止められそうで怖い」と感じている方は、こちらもあわせてご覧ください。
どうしても自分で伝えることが難しい状況であれば、退職代行という選択肢もあります。概要は記事末の「転職サービス・退職代行の紹介」でまとめています。
引き継ぎの段取りを立てる
引き継ぎは、退職日から逆算して段取りを立てましょう。
会社を辞めるときに引き継ぎが滞ると、退職日の直前に業務が集中し、有給休暇を消化できなくなることがあります。伝えた直後から並行して進めるのが現実的です。
最初にやるのは、担当している業務をすべて書き出す作業です。日次・週次・月次・年次で分けて洗い出すと、抜けが出にくくなります。
- 担当業務の一覧(頻度と所要時間つき)
- 取引先や社内の関係者の連絡先と、これまでの経緯
- 使用しているファイルやツールの保管場所とアクセス権限
- 自分だけが把握している手順や判断基準
とくに4つ目の「自分だけが把握していること」は、書き出さないと引き継げません。日常的に無意識で判断している内容ほど漏れやすいため、意識して書き出してください。
書き出したあとは、後任者が決まるまでに資料の形にしておきます。後任がすぐに決まらない場合でも、資料があれば上司や同僚が対応できます。
有給休暇の消化を希望する場合は、引き継ぎの完了予定日とあわせて早めに相談してください。残日数と退職日から逆算すると、実際に取得できる日数が見えてきます。
なお、引き継ぎが終わらないことを理由に退職日を延ばすよう求められることがありますが、退職日は法律と就業規則に基づいて決まるものです。対応に困る場合は、総合労働相談コーナーなどの窓口に相談できます。
転職サービス・退職代行の紹介
ここまでの内容を踏まえて、実際に動き出すときに使えるサービスをまとめました。状況に応じて使い分けてください。
ご紹介する転職サイト・退職代行は監修者が推奨するものではありません。
在職中に使える転職サービス
在職のまま情報収集をするなら、求人数の多い転職サイト・エージェントに登録しておくと選択肢が広がります。
登録は無料で、相談だけの利用も可能です。「今の待遇が妥当か知りたい」「他社の条件を見ておきたい」という段階でも使えます。複数登録しておくと、非公開求人を含めて比較しやすくなります。
| 公開求人数 ※2026年8月時点 | 特徴・強み | 年収アップ実績 | |
|---|---|---|---|
エージェント公式サイト詳細ページ | ◎ 78万件以上 |
| 転職成功者の62.7%が年収アップ |
| ◎ 28万件以上 |
| 年収アップの可能性大 ※50万円〜200万円以上の年収アップ実績あり | |
ビズリーチ | ◎ 6万件以上 |
| 100万円以上の年収アップ実績多数 |
年代別のサービス選び
年代によって求人の傾向や求められる経験が異なるため、年代別のサービス紹介も参考にしてください。
20代であれば経験の浅さを前提とした求人が中心になり、30代・40代では即戦力としての実績が問われます。サービスによって得意とする年代や職種が異なるため、自分の年代に合ったものを選ぶと効率的です。
年代別のおすすめは、それぞれこちらでまとめています。
なお、2〜3社に登録して比較する方法もあります。サービスごとに保有している求人が異なり、非公開求人も含めて選択肢が広がるためです。担当者との相性もあるため、複数使ってみて合うところに絞る、という進め方もできます。
自分で退職を伝えるのが難しい場合
上司に伝えることが難しい状況であれば、退職代行を利用する方法もあります。
ご紹介する退職代行は監修者が推奨するものではありません。
ハラスメントを受けている、体調を崩していて出社できない、退職を伝えても取り合ってもらえないといった状況では、第三者を通じて手続きを進める選択肢があります。労働組合や弁護士が関与するサービスであれば、会社との交渉も可能です。
退職代行job

株式会社アレスが運営する、顧問弁護士監修の退職代行サービスです。料金は27,000円(税込)で、追加費用はかかりません。24時間365日、全国どこからでも相談でき、手続きは最短30分、即日で退職の連絡を入れることも可能です。
このサービスの特徴は、弁護士監修に加えて合同労働組合ユニオンジャパンと連携している点にあります。民間企業が運営する退職代行では、有給休暇の消化や退職日の調整といった会社との交渉ができません。Jobsでは労働組合に同時加入することで、こうした交渉も任せられます。
このほか、顧問弁護士監修の退職届・業務引継書テンプレートの提供、退職完了までの無期限フォロー、転職や引っ越しのサポートも用意されています。
※料金・サービス内容は変動する可能性があります。最新の情報は公式サイトでご確認ください
◎顧問弁護士監修&労働組合と連携
◎LINEで無料相談OK
退職代行ガーディアン

東京都労働委員会に認証された合同労働組合「東京労働経済組合」が運営するサービスです。料金は一律24,800円で全国対応、銀行振込とクレジットカードに対応しています。労働組合には交渉権限があるため、民間企業では対応できない会社との交渉が可能な点が特徴です。LINEや電話で無料相談でき、相談当日から出社しなくてよい即日の対応も可能です。
※料金・サービス内容は変動する可能性があります。最新の情報は公式サイトでご確認ください
◎東京労働経済組合が運営
◎LINEで無料相談OK
そのほかのサービスを含めた詳しい比較や、利用時の注意点はこちらでまとめています。
なお、退職代行を使う前に、労働条件そのものに問題がある場合は公的な窓口にも相談できます。総合労働相談コーナーなどの一覧は「辞め時を感じたときの相談先|1人で決めない」でまとめています。
よくある質問
仕事の辞め時のサインには何がありますか?
心身の不調・改善の見込みのなさ・成長実感の停止が代表的なサインです。具体的には次のようなものが挙げられます。
- 心身の不調/眠れない、朝起きられない、休んでも疲れが取れない
- 改善の見込みのなさ/改善を求めても状況が変わらない、評価や昇給の基準がない
- 成長実感の停止/任される範囲が変わらない、社外で通用する経験が積めない
本記事では14項目を挙げています。3つ以上あてはまる場合は、セルフチェックで整理してみてください。
辞め時だと感じても、辞めない方がいいのはどんなときですか?
一時的な疲れや、現職で改善を試していない段階は辞め時ではありません。判断を急がない方がよいのは、次の5つのケースです。
- 繁忙期など一時的な負荷が原因のとき
- 現職での改善をまだ試していないとき
- 辞めたい理由が言葉にできていないとき
- 昇進・異動など状況が変わる見込みがあるとき
- 入社から日が浅く、判断材料が足りないとき
改善の余地があるかどうかが分かれ目になります。ただし、心身に不調が出ている方はこれらに当てはまりません。
「辞めたい」と「辞め時」はどう違いますか?
「辞めたい」は感情、「辞め時」は状況の判断です。両者は一致しないことがあります。
| 辞めたい | 辞め時 | |
|---|---|---|
| 何を指すか | 感情 | 状況の判断 |
| 変わりやすさ | 出来事によって上下する | 数か月単位で変わらない |
| 判断の材料 | そのときの感じ方 | 自分で変えられるか、改善の見込みがあるか |
辞めたい理由がどの種類かを特定すると、感情か状況かを切り分けやすくなります。
会社を辞めるベストなタイミングはいつですか?
在職のまま次を探せる状態かどうかが、最初の分かれ目になります。在職のまま進める場合は収入が途切れず、焦らずに条件を比較できます。一方、次のような状況では在職のまま進めることが難しく、先に辞める判断が優先されます。
- 心身に不調が出ており、転職活動に充てる余力がない
- ハラスメントを受けており、出社自体が負担になっている
- 長時間労働が続き、面接の時間を確保できない
なお、退職の申し出時期は就業規則で定められていることが多く、厚生労働省のモデル就業規則でも30日前までに届け出るという規定例が示されています。一方、法律上は期間の定めのない雇用契約であれば申し入れから2週間で退職できます。
※参考:
厚生労働省「モデル就業規則(令和7年12月版)」
e-Gov法令検索「民法」第627条
何月に辞めるのが有利かという時期の話は、別記事で解説しています。
体調を崩している場合も、転職を考えた方がよいのでしょうか?
転職より先に、医療機関や産業医への相談を検討してください。眠れない、朝起きられないといった状態が続いていると、判断力そのものが落ちていることがあります。その状態で転職活動を始めても、条件の見極めが難しくなります。
在職のまま利用できる窓口には、次のようなものがあります。
- 産業医:労働者数50人以上の事業場に選任されている
- 地域産業保健センター:50人未満の事業場の労働者が無料で利用できる
- こころの耳:厚生労働省のポータルサイト。電話・SNS・メールで匿名相談が可能
※参考:
こころの耳「地域産業保健センター(地さんぽ)」
こころの耳「働く人のこころの耳電話相談」
転職は選択肢のひとつであり、唯一の解決策ではありません。
辞め時かどうかを誰かに相談したいときは、どこに相談できますか?
職場の外では、公的な労働相談窓口やキャリアの専門家に相談できます。
| 相談先 | どんなときに | 費用 |
|---|---|---|
| 上司・人事部 | 異動や制度の利用を検討したいとき | 無料 |
| 総合労働相談コーナー | 労働条件やハラスメントに疑問があるとき | 無料 |
| 労働条件相談ほっとライン | 平日夜間・土日に相談したいとき | 無料 |
| 産業医・こころの耳 | 心身の不調が続いているとき | 無料 |
※参考:
厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
厚生労働省「労働条件相談ほっとライン」
1人で決めないことが大切です。
仕事を辞めたい理由が自分でもわからないときはどうすればよいですか?
理由を言葉にできない場合は、まず理由の種類から当てはめてみてください。辞めたい理由は、待遇・人間関係・仕事内容・将来性・働き方・心身の6種類に分けられます。次の手順で整理できます。
- 直近1か月で「嫌だ」と感じた場面を、日付とセットで5つ書き出す
- それぞれが6種類のどれにあたるかを振り分ける
- 同じ種類に3つ以上集まったものが、今の主な理由
- その種類が自分で変えられるものかどうかを確認する
書き出すこと自体が整理になります。
【まとめ】辞め時かどうかは、3つの軸で判断できる
仕事の辞め時は、心身の状態・改善の見込み・自分の市場価値の3つで判断できます。どれか1つだけで決めないことが大切です。
この記事で見てきた内容を、3つの軸で振り返ります。
- 心身の状態:不調が続いている場合は、判断より先に休息と相談を優先する
- 改善の見込み:自分で変えられるか、会社側の動きで変わる見込みがあるかを確かめる
- 市場価値:社外から見た自分の評価を知り、選択肢を把握しておく
14のサインに当てはまるものがあっても、それがそのまま「今すぐ辞めるべき」を意味するわけではありません。繁忙期の一時的な負荷なのか、何年経っても変わらない問題なのかで、答えは変わります。
反対に、当てはまった数が少なくても、1つが耐えがたいものであれば十分な理由になります。数は整理のための目安であって、判定ではありません。
そして、この判断を1人で抱える必要はありません。社内には上司や人事、社外には公的な労働相談窓口やキャリアの専門家がいます。転職は選択肢のひとつであり、異動や休職という道もあります。
辞めるかどうかを決めるのはご自身です。この記事が、その判断材料になれば幸いです。

そのような場合にまで、仕事を続けることはキャリアにつながらないだけでなく、心身に多大な負担を掛けてしまいます。
転職サイトやエージェントなどを利用して、より良い環境へ移ることも可能です。辞めどきのサインを見逃さず、適切な時期に転職を行い、キャリアアップを図りましょう。
- 厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概況・3 転職入職者の状況」
- 厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要」
- 厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」
- 厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査 調査結果の概要」
- 厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定(過労死等の労災補償Ⅰ)」
- 厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
- 厚生労働省「モデル就業規則(令和7年12月版)」
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
- 厚生労働省「労働条件相談ほっとライン」
- 厚生労働省「あかるい職場応援団」相談窓口のご案内
- 厚生労働省「e-ヘルスネット」不眠症
- 厚生労働省「こころの耳」用語解説「早朝覚醒」
- こころの耳「地域産業保健センター(地さんぽ)」
- こころの耳「働く人のこころの耳電話相談」
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
- e-Gov法令検索「民法」第627条
- 中央労働災害防止協会「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)活用ガイド」
- 政府広報オンライン「公益通報者保護法が改正。「内部通報制度」で不正をストップ!」
- エン・ジャパン「『エン転職』1万人アンケート(2022年10月)「本当の退職理由」実態調査」
- NHK「就活の企業選び 何を重視しますか?」
- J-Stage「残業時間と働きがいの関係」
転職UPPP編集部は、IT・Web業界に精通した起業家、マーケティングのプロフェッショナル、そして豊富な転職経験を持つライター・ディレクターが集結した専門チームです。起業や独立、法人営業、Webマーケティング、メディア運営など、それぞれのキャリアで培った知見を活かし、転職市場の動向を分析しながら、実体験に基づいた信頼性の高い情報を発信しています。転職の成功と失敗をリアルに経験したメンバーが、読者にとって本当に役立つコンテンツを提供します。
運営会社情報
- 運営会社:UPPGO株式会社
- 所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田7-20-9 KDX西五反田ビル5F
- 有料職業紹介事業 許可番号:13-ユ-313755
- プライバシーマーク登録番号:第21004733(03)号
- お問い合わせ:contact@tenshoku-uppp.com




